(1) 小規模な施工や限られたスペースの防水
アスファルト防水は、施工にある程度の面積が必要であり、狭いスペースや小規模な場所には向いていない場合があります。アスファルトシートを複数層にわたって重ねるため、施工に場所を要します。
小さなバルコニーや狭い屋根
アスファルト防水は、広範囲の施工には適しているものの、狭い範囲の施工にはコストや時間がかかることがあります。このような場合には、ウレタン防水やシート防水などの軽量な防水工法の方が適していることがあります。
複雑な形状の屋根
アスファルト防水は平らな屋根や広い面積には適していますが、複雑な形状を持つ屋根には適応しにくい場合があります。架台や曲面が多い場合、アスファルトシートの設置が難しくなり、隙間ができやすくなる可能性があります。
(2) 建物の構造的に重量制限がある場合
アスファルト防水工法は、他の防水工法に比べて重量があるため、軽量構造の建物には不向きです。特に、古い建物や耐荷重が限られている建物では、追加の荷重による影響が問題になることがあります。
軽量鉄骨造の建物や古い建物
耐荷重が少ない建物にアスファルト防水を施工する場合、建物全体の重量に悪影響を与えることがあります。そのため、こうした場合には、軽量なウレタン防水やシート防水の方が適しています。
耐震設計を優先する建物
耐震設計が重視される建物では、アスファルト防水による追加の重量が耐震性能に影響を与えることがあるため、慎重な検討が必要です。
(3) 短期間での施工が求められる場合
アスファルト防水工法は、施工期間が比較的長く、他の防水工法に比べて時間がかかることがあります。これは、下地処理、アスファルトシートの設置、複数層の重ね貼り、最終仕上げなど、複数の工程があるためです。そのため、短期間で工事を終えたい場合には、ウレタン防水、シート防水などの短期間で施工可能な工法が適しています。
短期的な使用や仮設の建物
仮設の建物や、一時的に使用される施設の場合、アスファルト防水の長期間の耐用年数は不要であり、コストや施工時間を考慮すると別の防水工法が適切です。