(1) 下地処理

下地処理はウレタン防水工事の成功において最も重要なステップの一つです。
適切な下地処理が行われないと、ウレタン樹脂が十分に密着せず、防水効果が低下する可能性があります。具体的な下地処理の手順は次の通りです
- 1.表面の清掃
- 施工面に付着しているほこり、汚れ、油分を完全に除去します。これらが残っていると、ウレタン樹脂の密着性が低下し、防水層が剥がれたり劣化したりする原因となります。また、苔やカビが発生している場合は、専用の洗浄剤を使って除去します。
- 2.下地の確認
- 施工面にひび割れや凹凸がある場合、適切な補修を行います。
コンクリート面のひび割れにはエポキシ樹脂を注入するなどし、下地を平滑にします。凹凸があると、防水層が均一に形成されず、防水性能が低下する可能性があるため、重要な工程です。
(必要に応じて樹脂モルタルで下地調整を行います)

(2) ウレタン樹脂の塗布
下地処理が完了したら、ウレタン樹脂の塗布を行います。ウレタン防水の主な防水層を形成する工程であり、液体状のウレタンを塗布していくプロセスです。塗布は通常、2〜3層に分けて行われ、それぞれの層が完全に硬化するのを待ってから次の層を重ねます。
- 1.一層目の塗布
- プライマーが完全に乾燥した後、ウレタン樹脂の一層目をローラーや刷毛で塗布します。
ウレタン防水では、塗布するウレタン樹脂の量を調整することで防水層の厚みをコントロールします。通常、1層目はやや薄めに塗布し、施工面全体に均一に広げることが重要です。

- 2.硬化の確認
- 一層目を塗布した後、ウレタン樹脂が完全に硬化するまで待ちます。
硬化時間は気温や湿度によって異なりますが、通常は8〜24時間程度です。この間にウレタン樹脂が均一に固まり、弾性のある防水層が形成されます。硬化不良を防ぐため、気温が低い冬季や湿度の高い日には注意が必要です。
- 3.プライマーの塗布
- 下地の表面を平滑に整えた後、プライマーを塗布します。
プライマーはウレタン樹脂の密着性を高めるための接着剤の役割を果たします。施工面全体に均一にプライマーを塗布し、完全に乾燥させてから次の工程に移ります。この段階でのプライマーの乾燥時間は気温や湿度により異なりますが、通常は1〜2時間程度です。

(3) トップコート(保護塗装)の塗布

ウレタン樹脂が完全に硬化した後、紫外線や外的要因から防水層を守るためにトップコート(保護塗装)を塗布します。
ウレタン防水は紫外線に弱いため、トップコートを施すことで防水層の劣化を防ぎ、長期間にわたって防水性能を維持できます。
- 1.トップコートの選定
- トップコートの材質(ウレタン・シリコン・フッソ)により耐用年数が変わります。
また、通行が多い場所では、耐摩耗性の高いトップコート(HGコート)を選択することが推奨されます。
- 2.トップコートの塗布
- ウレタン防水層の上に均一にトップコートを塗布します。ローラーや刷毛を使用して、隙間なく広げることが重要です。
施工箇所の使用用途に応じて、1〜2回の塗布が必要です。トップコートを塗布することで、紫外線や摩擦から防水層を守り、防水効果の長期維持が可能となります。
- 3.完全硬化の確認
- トップコートが完全に乾燥し硬化したら、施工完了となります。
通常、トップコートの乾燥時間は12〜24時間ですが、外部条件により異なるため、現場の状況に応じて十分な硬化時間を確保します。施工後は、足場や保護材を撤去し、清掃を行います。
(4) 最終確認と仕上げ
施工が完了した後、防水層に問題がないか最終確認を行います。
この工程では、施工全体を見直し、防水層にひび割れや未処理の部分がないか、均一に塗布されているかをチェックします。
- 1.最終清掃
- 施工後の清掃を行い、残材や作業中に発生したごみを撤去します。
特に屋外での施工後は、落ち葉やほこりなどが堆積しないようにきれいに清掃することで、現場を整えます。
